在留特別許可とは

在留特別許可とは、法務大臣の裁決にあたって特例的に行われる救済処置です。退去強制事由(オーバーステイ・不法入国等)に該当する疑いのある外国人について、次の四段階の手続きがあります。
第一段階・・・入国警備官による違反調査。退去強制事由にあたると思われる外国人について調査・取調べを行い、証人の出頭を求めて取り調べ、裁判官の許可を受けて捜索・押収などをします。
  入国警備官は、外国人が退去強制事由に該当すると疑うに足る理由のあるときは、収容令状によりその容疑者(外国人)を収容し、48時間以内に入国審査官に身柄を引き渡します。収容期間は30日以内とされ、やむをえない事由があるときは30日を限り延長されます。仮放免制度もありますが、退去強制令書が発付されると、仮放免許可は失効します。
第二段階・・・入国審査官による審査。容疑者及び関係資料を審査し、容疑者が退去強制事由に該当するか認定。       退去強制事由に該当しない・・・放免される
              該当する・・・・退去強制令書→強制送還へ
   ・この第二段階で、退去強制事由に該当する認定に対して不服があれば、容疑者 は3日以内に特別審理官に口頭審理を請求できる
   ・退去強制事由に該当することを認めるが、情状酌量して在留特別許可を希望するときも口頭審理を請求できる。
第三段階・・・特別審理官による口頭審理。容疑者の親族または知人を立ち合わせ、証人を出頭させて証言を求める               

     ①入国審査官の認定に誤りがあると判定・・放免される
     ②入国審査官の認定に誤りがない・・退去強制令書発付→強制送還へ
     ③特別審理間の判定に異議あり・・容疑者は3日以内に法務大臣に異議を申し出ることができる
      ④退去強制事由の判定は争わないが情状その他の事情を酌量して在留特別許可を得たいと希望する・・異議を申し出ることができる
第四段階
・・・異議の申し出に理由があるかどうか、法務大臣が裁決する。
      退去強制事由に該当していても、   ①永住の許可をうけている  ②かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがある ③生活態度、家族関係の諸事情にかんがみ、在留を特別に許可する事情がある場合は、その者に特別に在留を許可することができるとされています。
 この、最終的に法務大臣の採決によって特例的に行われる救済措置が、在留特別許可なのです。
 在留特別許可は、ビザの更新や変更のように、申請手続きとして存在するわけではなく、あくまで人道的救済措置 なのです。ここでいう③の事情とは、たとえば、オーバーステイの外国人が日本人や永住者と結婚し、日本で生活をしている以上、人道的観点から二人を引き離して容疑者を強制送還するのは人権侵害にあたるといった場合などです。
 このケースでの結婚とは、双方の国の結婚要件を満たして、正式に届を出して受理された、法律上有効な結婚です。同居関係とか、内縁関係だけでは、たとえ子供が生まれていても、国際私法上有効な結婚と認められないのは言うまでもないでしょう。「はじめに結婚ありき」です。しかし又、結婚したからといって、すべて在留を許可されるわけではありません。
 なお、法務大臣の裁決に不服がある場合、行政不服審査法による異議申し立てはできませんが、行政訴訟法に基づき、裁判所に救済を求めることができます。

☆在留特別許可の要件はありますか?
あなたと、オーバーステイ外国人の配偶者が在留特別許可を取得しようとするとき、下の条件にどれくらい当てはまりますか?
□配偶者あるいは自分が妊娠している、或いは子が居る
□同居している
□結婚にいたる経緯を詳しく覚えていて説明できる
□誰がなんと言おうと私達の結婚は真実だ
□日本でもう婚姻届を提出した
□親・親戚・友人・兄弟が私達の関係を知っている
□定職についている
□職場の上司も応援してくれている
□在留特別許可を取ろうとする配偶者が、オーバーステイ以外の法律違反を犯していない
□納税はちゃんと済ませている
□社会保険にはちゃんと加入している
□オーバーステイの配偶者が、日本で生活していけるだけの技能あるいは資格を持っている
□誰に反対されても、どんなに時間がかかっても彼(彼女)が日本にとどまったまま手続をしたい
□オーバーステイになった経緯を説明できる
□オーバーステイになった事の違法性を認識し反省している
□外国人配偶者が、日本の文化や地域になじんでいて日本での安定した結婚生活を望んでいる
□ある程度の預貯金がある(微妙な表現ですが、全く貯金がないと難しいです)
上記のチェックボックスにいくつチェックが入りますか?
勿論、上記を満たしたからといって必ず在留特別許可が取得できるわけではありません。

☆在留特別許可を取得するまでの期間は?
入国管理局に出頭してから数ヶ月~1年くらいは、見たほうが良いでしょう。慎重に調査を要する案件については長期化する傾向があります。

よく「何ヶ月でビザを取れますか?」と、これから在留特別許可の手続に移ろうとする人から聞かれます。

しかし、一度考えていただきたいのは、在留特別許可の手続に移ろうとする人たちが不法滞在をしていたという事実は変わらないと言うことです。

ビザを取れるかということよりも、入管法違反を自ら出頭して申告し入国審査官や特別審理官の認定や判定を待つという

スタンスで臨んだ方が良いです。ビザどころか、強制退去処分になる可能性も、ないとは言えないのです。

もちろん、当方ではそれぞれの事情をお聞きして、入国管理局の調査に対し説得力のある陳述書や資料を作ることを心がけています。

在特の流れについては、当方でフロー図を用いてご説明し全体図を分かりやすくご説明していますが、この在留特別許可のシステム自体、一般の方には中々馴染みにくいと思います。やはり裁決という恩恵により在留資格を認められるという、行政主導の受動的流動的手続という側面には変わりありません。

☆在留特別許可の提出書類について
入国管理許可に出頭の際は、陳述書をはじめ、納税関係・身分関係などを挙証する書類を提出します。
陳述書作成は、出頭してからの取調べの基礎になりますから、慎重かつ考案を要する書類です。
在留特別許可の柱であると言っても過言ではありません。当事務所では、必ず配偶者の方と在留特別許可を受けようとする外国籍の方双方にお越しいただき、詳細にかつ綿密に打ち合わせの上私が作成しております。又、それぞれのケースにより異なる提出書類についてもご相談に応じています。詳しくはお問合せください。