国際結婚に関する手続き

日本人同士が結婚するときは、市町村区役所に届を出すだけで、婚姻は成立します。それは、日本が届出婚という制度をとっているからです。婚姻届が受理されると、二人の元の戸籍からは除籍され、新しい戸籍が編成されます。

 しかし、外国では、教会や役所での挙式によって結婚が成立することが多いです。

日本人と外国人が結婚するときは、まず日本人は日本の、外国人は外国の婚姻要件を満たしていることが必要です。

 日本では ①男性満18歳以上、女性満16歳以上 ②重婚でないこと ③再婚の女性は前婚の解消の日から6ヶ月を経過していること ④近親婚でないこと  ⑤直系姻族間の婚姻でないこと  ⑥養親子関係者間でないこと ⑦未成年者は、父又は母の同意が必要   以上が要件です。

○アメリカでは・・州法により、婚姻年齢が異なりますが、男21歳、女18歳、ただし親の同意があれば男18歳、女16歳としている州が多い。

○韓国・・・婚姻年齢は、男18歳、女16歳です。このように、婚姻年齢や婚姻要件は、様々です。

 日本人と外国人が日本で婚姻届を出す場合は、日本の方式で出さなければなりません。

☆外国人が日本で婚姻届を出す場合

◎ビザ手続きの面から言うと、外国人が婚約者として日本に来日し、日本で結婚するときは、最初は短期滞在で日本に入国し、結婚したあとに、在留資格変更の申請をします。

  さて、日本での手続きに行きましょう。

  日本人については、結婚の要件を満たしていることを証明する戸籍謄本が必要です。

  外国人については

  ①パスポート ②外国人登録証明書  ③外国人登録原票  ④在日公館発行の婚姻要件具備証明書(訳文  をつけること) ⑤申述書や宣誓書  ⑥相手が韓国・朝鮮・台湾出身の場合は戸籍謄本

   宣誓書とは、例えばアメリカ人の場合、領事の面前で、その人の所属する州法の婚姻要件を満たしている旨を宣 誓し、発行してもらう書面です。

 申述書は、どうしても婚姻要件具備証明書が得られないときに、その理由などを書いて提出する書面です。

  ○日本で婚姻届が受理されない・・不受理証明書を発行してもらって、その理由を明らかにしておくと、後日不備書類を訂正するときに便利です。もちろん受理されたら、必ず受理証明書をもらいましょう。

 結婚が成立したら、外国人について、在留資格変更の手続きをしましょう。

☆外国で結婚するとき

  その国の方式(挙式婚や届出婚などその国によって違うので、公的機関で調べること)で結婚し、婚姻証明書を受けます。そして、それを最寄の在外日本公館、又は日本の本籍地へ、3ヶ月以内に届出をしなくてはなりません。帰国して届けても、外国から届出に必要な書類(婚姻届や、相手の婚姻要件具備証明書・戸籍謄本 )を郵送しても可。

  外国で日本人が結婚する場合、日本人について婚姻要件具備証明書が必要になることもあるでしょう。その場合 、戸籍謄本を添付して本籍地の市区町村役場か法務局、または在外日本領事館に申請すると、発行してもらえます。

☆婚姻による国籍選択について

  結婚によって日本国籍に変更はありませんが、配偶者の本国法によっては、日本とその国の両方の戸籍を持つことになる場合があります。例えば、イランなどの国は、婚姻によって自動的に重国籍となります。又、結婚後に、意思表示により、夫の外国国籍を取得できる国があります。 結婚する外国人の国により違いますので、事前にチェックしましょう。

☆婚姻による氏の変更について
  外国人と結婚しても、日本人の氏は、自動的には変わりません。外国人配偶者と同じ氏を名乗りたいときは、結婚の日から6ヶ月以内に市区町村長に届け出ると、家庭裁判所の許可なしで氏を変えられます。6ヶ月を経過しているときは、家庭裁判所の許可を得て氏を変更できます。
  外国人配偶者の本国で、日本人配偶者の氏が変わるかは、外国人配偶者の本国法によります。

子供の出生
  父母のいずれか一方が日本人であるときは、生まれた子供は日本国籍を取得します。
  外国人配偶者の本国法によって、又生地主義国の外国で生まれた場合、重国籍になることがあります。その場合、出生の日から3ヶ月以内に国籍留保届をしなければ、その子は出生のときにさかのぼって日本国籍を失います。
 国籍の留保届をせずに日本国籍を失った子は、20歳未満で日本に住所を有する場合、
 ・出生時の父又は母の戸籍謄本
 ・出生証明書、分娩の事実を証する書面など
 ・外国人登録証明書、パスポートなど 
 ・15歳未満で法定代理人が届け出る場合、身分を証するもの(パスポートや健康保険証、免許証など)
を住所地管轄の法務局に出頭して届け出ることにより、日本国籍を再取得できます。
 但し、事前に法務局の担当者に相談することが必要です。

☆子供の出生届出
生まれてから14日以内に、出生届をする必要があります。日本人である親の本籍地又は届出をしなければならない者の所在地の市区町村長に届け出ます。海外で出生したばあいには、3ヶ月以内に出生届をする必要があります。
☆外国人配偶者の国への届出
国により異なりますが、まず、在日大使館、領事館に、子供が生まれてからいつまでに届出をすればよいのか、問い合わせましょう。そのときに、いつまでに届出ればいいのか、必要書類や証人の有無などを確認して手続きに入りましょう。
国によって違いますが、大体次のようなものが必要でしょう。
 まず二人の婚姻を証する書類・・・◎結婚した双方についての、出生証明書(訳文・大使館又は領事館の認証付) ・婚姻証明書(訳文・大使館又は領事館の認証済み)  ☆戸籍制度の人なら戸籍謄本( 認証済み・訳文付)
日本で結婚した場合、結婚届受理証明書・・・外務省証明班の認証済のもの
◎子供の出生を証明する書類・・母子手帳コピー・出生届受理証明書(外務省証明班認証済み)
 外国人登録原票・住民票   子供の写真(決められた寸法の)   パスポート(双方)
 その国により、家族手帳や軍隊手帳、IDカード   証人同行が必要な場合もあります。
 ・事前に審査があって予約制で届を受け付けてくれる大使館など、国によって違います。
☆子供に外国人の夫と同じ氏を名乗らせたい
外国人と結婚した日本人が、外国人配偶者の氏に変更していた場合、子供の氏は、外国人配偶者の氏と同じになります。子供だけ外国人姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に申し立ててその許可をもらえば、その氏を外国人親の名乗っている氏に変更する届出をすることができると定められています。
家庭裁判所の許可を受けた場合は、子供の本籍地または所在地の市区町村長に、「外国人父母の氏への氏の変更届」を提出します。 届出には、家庭裁判所の許可審判の謄本を添付します。
☆子供ができてから結婚した・・
日本の民法では、嫡出子の要件として、結婚と認知の2要件を定めています。ですからどちらか一方が日本人の場合、日本の法律では正式な結婚をする前の子供は嫡出子でないので、配偶者の本国法によって嫡出子でない限り、その子は嫡出ではありません。 多くの国では、結婚前に子供が生まれた場合、その後の結婚により、または結婚に加え認知により、嫡出子となります。(これを準正という)

☆国籍選択の方法
  重国籍となった時期が20歳以前のときは22歳まで、20歳を越えているときはそのときから2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければなりません。選択しないままでいると、法務省から書面で催告がなされ、その後も放置していると、一定期間後に(催告から1ヵ月後)日本国籍を失います。

  本人の知らない間に日本国籍を喪失していた場合は、日本国籍喪失を知った日から1年以内に届け出れば、日本国籍を再取得できます。

日本国籍を維持する場合は、日本国籍の選択宣言 をしたのちに、外国国籍の離脱をします。

 日本国籍選択宣言・外国国籍の離脱は、市区町村役所に備え付けの用紙があるので、署名して提出します。

   これらによって日本国籍を維持できますが、この手続きで当然にもう一方の外国籍を失うわけではありません。あくまでこれは日本政府への宣言なのです。
  もう一方の国籍を失うかどうかは、その国の国籍法によって決まるので、日本国籍の選択宣言をしたからといって、必ず外国籍を離脱をしなければならないということでもありません。離脱を認めない国もあります。

 外国籍がいらない場合は、その国の政府に対し離脱の手続きをし、日本へは市区町村役所を通してその旨届け出ると、日本国籍の選択宣言をしなくても日本国籍が残ります。

逆に日本国籍を放棄したいときは、法務局あるいは在外公館へ国籍離脱の届出をすれば、そのときから日本国籍を失います。