帰化申請について

 外国人が日本の国籍を取得する、「帰化」は、外国人として日本に在留していた入国管理法(正しくは出入国管理及び難民認定法)ではなく、日本の「国籍法」によって要件が定められています。日本では帰化の条件は厳しく、非常に多くの書類と、国籍法をはじめ外国人登録法・入管法・国際私法・戸籍法、さらには、申請人の本国法の知識も必要で、難易度の非常に高い申請手続きです。

 そして日本では、帰化の申請手続きに出頭主義をとっているので、必ず、申請そのものを、本人が出頭して書面で行わなければなりません。

 申請をする場所は、入国管理局ではなく、帰化をしようとする者の住所地管轄の法務局又は地方法務局です。 

ですから、帰化をしようとする人は、申請に先立って、必ず住所地の法務局又は地方法務局に出頭して、必要書類の指示を受けることが必要です。これは、各申請人ごとにそろえる書類が異なる場合があるからです。そして、実際の書類作成では、行政書士などの専門家に相談しながら進めていくほうが良いでしょう。

 通常、許可申請をしてから、許可が下りるまで、大体半年~1年以上かかるといわれています。

 参考までに、提出書類の一部、申請人が自分で作成しなければならない書類を挙げます。全部指定用紙です。

 ①帰化許可申請書       

 ②帰化の動機書

 ③履歴書  

 ④宣誓書

 ⑤親族の概要を記載した書面

 ⑥生計の概要を記載した書面

 ⑦事業の概要を記載した書面

 ⑧自宅勤務先等の付近の略図

この他に、ケースによりますが、十数種類~数十種類の書類を取得していく事になります。

帰化の要件について

外国人が日本に帰化するためには、以下の条件を満たしていなければなりません。

①引き続き5年以上日本に住所を有すること(国籍法第5条第一項一号)。これは原則ですが、5年以上住所を有してなくても、日本人の配偶者であれば、日本に3年以上居住すること、あるいは結婚が3年以上続いていれば1年以上日本にすむこと(居住要件)

となっています。又、元日本人や日本人の子などは、条件が緩和されています。

②20歳以上で本国法によって能力を有すること。(能力要件)これは原則ですが、

 前述したように、日本国民の配偶者で婚姻の日から3年経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を得る者や、日本国民の子、日本国民の養子、日本国国籍を失ったものなど、20歳以上でなくても帰化申請できる但し書きの要件があります。 なお、未成年の子は、単独で帰化申請はできませんが、親と同時に申請した場合、父母が許可をされると同時に「日本人の子」となり同時に帰化許可をえることができます。

③素行が善良であること(素行要件)

一般的な資料として、外国人の本国での無犯罪証明書あるいは良民証明書等の提出が必要です。日本での滞在期間中も、前科その他法律違反がないことで素行を判断されます。

④自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(生計要件)

⑤国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

日本は単一国籍主義なので、重国籍は認められません。

 実際に帰化審査の結果、帰化許可を前提に、本人に現国籍の国籍離脱証明書の提出が要求されます。しかし、日本への帰化申請の際に国籍離脱をしなければならない国(台湾など)もあります。

⑥日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法のもとに成立した政府を暴力で破壊することを企て、主張する政党を結成したりそれに加わったりしたことがないこと。

⑦原則として日本語の読み書き、会話の能力があること

最低限簡単な日常会話ができ、小学校中学年程度の読み書きができること

簡易帰化要件~要件が緩和されるケースをもっと詳しく

①日本人の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する人

②日本で生まれた人で、3年以上日本に住所又は居所を有し父母が日本生まれの人

③引き続き10年以上日本に居所を有する人

④日本人の配偶者(夫又は妻)である外国人で、3年以上日本に住所又は居所を有し、現在も日本に住所を有している人

⑤日本人の配偶者(夫又は妻)である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、引き続き一年以上日本に住所を有している人

⑥日本人の子(養子を除く)で日本に住所を有する人

⑦日本人の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、縁組のときに本国で未成年だった人

⑧元日本人で日本に住所を有する人

⑨日本生まれで出生の時から無国籍で引き続き3年以上日本に住所を有する人

 緩和条件(つまり、次の要件を満たさなくても帰化できるということです)

・①~⑨各項に該当する人達は、居住要件(引き続き5年以上日本に住所を有すること(国籍法第5条第一項一号)が緩和されます。

・④、⑤に該当する人達は、居住要件、能力要件(20歳以上で本国法によって能力を有すること。)が緩和されます

・⑥~⑨に該当する人達は、生計要件・・・・(自己又は生計を一にする配偶者その他の 親族の資産又は技能によって生計を営むことが出来ること)、居住要件、能力要件が緩和されます  ・・・・